セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントという言葉が一般的になりましたが、その対応はお済みでしょうか?
セクシュアルハラスメントについては、対応済みという声が増えてきましたが、他の対策は「まだまだ」という状態が多いようです。
しかも、「マタハラ」「パタハラ」に加えて、最近は「モラハラ」「スメハラ」なんてどんどん増えてきて、本当に対策が必要なのかどうか怪しいものも登場しているようです。
そこで、今回の記事では「ハラスメント」そのものについて分かりやすく解説をしていきます。
✓企業経営者(労務担当者)の悩み
- ハラスメントとは?分かりやすく解説して欲しい
- ハラスメントの対策をなぜ行わなければならないのか?
- ハラスメントの対策とは何をするのか?
こういった疑問に答えていきます。
✓本記事の内容
- ハラスメントとは?分かりやすく解説します
- ハラスメントの対策は必須です
- ハラスメント対策の概要
この記事を書いている私は、経営コンサルを10年以上やっており、働き方改革や雇用対策のコンサルも3年以上の実績があります。
また、行政書士でもあるため、労務関係を取扱う社会保険労務士とのコラボも数多く行っています。
法律に沿った内容だけに留まらず、企業の生産性を向上し、収益の増大を目指すコンサルを実施しています。
こういった私が、解説していきます。
ハラスメントとは?分かりやすく解説します
ハラスメントとは
「ハラスメント」とは、対象となる「労働者」の意に沿わない「嫌がらせ」などの言動によって不快な感情を抱かせることにより、就業環境を害する行為を指します。「職場におけるハラスメント」とは、業務にかかわるか否かに関係なく、「職場」内で行われるハラスメントで、実際には数多くの種類がありますが、特に、男女雇用機会均等法ではセクシュアルハラスメントを、男女雇用機会均等法と育児・介護休業法では妊娠・出産・育児休業に関するハラスメントを、労働施策総合推進法ではパワーハラスメントが規定されています。
尚、従来から禁止されていた事業主が行う「不利益取扱い」とは区別されていますので注意しましょう。
職場の定義
「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所で、通常就業している場所以外でも、労働者が業務を遂行する場所や、実質上職務の延長と考えられるものも「職場」に該当します。
「職場」の例
- 事務所
- 製造場(工場)
- 出張先
- 業務で使用する車中
- 取引先との打ち合わせ場所(接待の席などの飲食店を含む)
- 顧客の自宅
- 取材先
労働者の定義
「労働者」とは、正規雇用労働者(正社員)だけでなく、アルバイト・パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者を指します。時間外労働とは違い、課長・部長などの管理監督者も含みます。
また、派遣労働者については、派遣元事業主だけでなく、派遣先事業主も、自ら雇用する労働者と同様に措置を講じる必要がありますので注意しましょう。
3つのハラスメントの概要
◆職場におけるセクシュアルハラスメント
職場におけるセクシュアルハラスメントとは、職場において行われる、労働者の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることです。
◆妊娠・出産・育児休業に関するハラスメント(マタニティ/パタニティハラスメント)
妊娠・出産・育児休業に関するハラスメントとは、職場において行われる上司・同僚からの、「妊娠・出産したこと、育児休業の利用に関する言動」により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業を申出・取得した「男女労働者」等の就業環境が害されることです。
◆職場におけるパワーハラスメント
職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる、
- 優越的な関係を背景とした言動であって、
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
- 労働者の就業環境が害されるもの
であり、以上3つの要素を全て満たすものをいいます。
尚、それぞれのハラスメントの詳細については、別の記事で解説しますので、そちらを参照してください。
ハラスメントの対策が必須である理由
ハラスメントの対策が必須である理由は、法的な要請があるということを別にして、大きく3つあります。
- 離職防止
- 就業環境の向上
- 生産性の向上
それでは、一つずつ解説していきます。
離職防止
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に続き、労働施策総合推進法でもハラスメントに対する防止措置について法制化され、各企業ではこれに対応するべくさまざまな施策を講じてきましたが、都道府県労働局に寄せられるハラスメントの相談件数は依然として減っていません。
ハラスメントによって就業環境が害される訳ですから、これが改善されない限り、対象となっている労働者にとっては、その企業に雇用されている意味がどんどん薄れていきます。
それを放置すれば、当然、ハラスメント被害を受けている本人は離職しますし、再発防止などの措置を講じない限り、次のハラスメントが発生したり、被害者の周囲をはじめ、職場全体の就業環境が悪化したりして、離職の連鎖が起きてしまいます。
つまり、どんなに小さなものであっても、ハラスメントを許さない、発生した際は厳正に対処する、などを周知することで、本来なら無いはずだった離職を防止できるのは大きなメリットであると言えます。
就業環境の向上
ハラスメントがないことが確実であれば、「働きやすい職場」であると言えます。
本来、職場というのは仕事をする場所ですから、仕事以外の余計なストレスは無い方が良いに決まっています。しかし、どこの職場でも現状がそこまで完璧な状態ではないはずなので、ハラスメントが全く発生していなくても、対策をしっかり行うことで、未然に防ぐことが明らかになれば、それだけで労働者の心証は良くなりますし、結果としての就業環境の向上が見込める、ということになります。
生産性の向上
これはさまざまな記事で書いている通り、就業環境が良い職場は即ち「働きやすい職場」であり、そういった職場では生産性がそうでない職場に比べて確実に高くなります。
生産性とは、単位時間当たりの付加価値の創造であり、端的に言えば「粗利益」額とほぼ同じになります。要するに、生産性の高い職場では、それだけ「儲かる」ということです。
収益性が高い職場で働く労働者は、さらにモチベーションもアップしますから、より生産性が向上します。収益の向上によって賃金が上昇すれば、さらに「働きやすさ」が向上するのは間違いありません。
こうして見ていくと、ハラスメント対策が企業にとって必須である理由がよく分かったと思います。しかも、特に費用がかかるものでもありませんし、元々法律によってやらなければならないものですから、積極的に推進しない手はありません。
ハラスメント対策の概要
ハラスメント対策にはきちんと決まった方法があり、それに従えば間違いはありません。詳細については、別の記事で書きますが、ここでは概要と大まかな流れをお伝えします。
ハラスメントの内容と禁止方針の周知
まずは、ハラスメントの内容をしっかりと習得し、何がそれぞれのハラスメントに当たるのかを明確にします。そして、ハラスメントは絶対にしてはならない、した場合は厳正に対処する、などの事柄について決定し、社内全体に周知します。
また、処分内容なども詳細に決めて、就業規則などに明記し、併せて周知します。
ハラスメント防止に関する社内資料も作成して、研修の実施も効果的です。特に、管理監督者には、加害者にならないためと、発生した際に上司として必ず関わる担当者としての役割との両方の研修が必要です。
相談窓口の設置と対応手順
ハラスメント対策としての要は、相談窓口の設置です。相談窓口を設置したこと、窓口がどこであるか、相談するのは発生した後でなく、可能性がある場合でも相談可能なこと、相談した秘密は必ず守られること、相談したことによって一切の不利益を受けることはないこと、なども周知します。社内回覧やポスターの掲示なども活用しましょう。
相談窓口を設置しても、ただ担当が割り振られているだけでは不十分です。相談があった場合は、具体的に誰が何を行うのか、窓口担当者だけでなく、加害者と被害者の上司、人事部署などの、それぞれの詳細な手順を決めておきます。
発生時の措置と再発防止
実際に発生してしまったら、予め決めてある手順に沿って、措置を実行していきます。ある程度柔軟に対応する必要はありますが、熟慮して決めた内容に例外を作らないように注意しましょう。
また、ハラスメントが実際に発生したこと、加害者は厳正に処分したことなど、明らかにできる範囲で必ず社内全体に周知します。今までハラスメント対策について周知されてきたことが本当であったと全員がしっかりと認知できるからです。
そして、防止措置を講じたはずなのに、なぜ発生してしまったのか、しっかりと検証した上で、必要なら追加措置を講じましょう。再発の防止にしっかりと臨むことが何よりも重要です。
しっかりとした対策は、ハラスメントを未然に防ぐことができますので、是非実行してください。
繰り返しになりますが、ハラスメントの対策は必ずやらなければならないものなので、しっかりと確実に実行していきましょう。
そのためにも、ハラスメントの内容ととその対策についてしっかりと知ることが重要です。
当委員会では、ハラスメント全体についてさらに詳しく解説しているハラスメント情報ハンドブックを無料で配布しています。
そしてまずは、現状を知るためにも無料簡易チェックリストによるチェックを行いましょう。
どちらもコチラからダウンロードできます(PC推奨)。
このブログでは働き方改革や雇用対策に関するさまざまな記事を掲載していますので、そちらも是非お読みください。もし、ご質問等がありましたら、コチラからお気軽にご連絡ください。ご相談ご質問については無料で対応しています。