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働き方改革関連法の内容と罰則【チェックリスト付き】

働き方改革関連法

働き方改革関連法が完全施行されてから半年近く経ちましたが、対応はお済みでしょうか?
「まだまだ」というお声が聞かれるので、「今さら聞けない働き方改革関連法」の内容について書きたいと思います。

現在、働き方改革の担当者や企業経営者はこのような悩みをお持ちの様です。

企業経営者(労務担当者)の悩み

  • 働き方改革関連法の内容を知りたい
  • お金をかけずに働き方改革は実行できるのか?
  • 働き方改革関連法の罰則はあるのか?

こういった疑問に答えます。

本記事の内容

  • 働き方改革関連法の内容とは?
  • お金をかけずに働き方改革をする方法
  • 働き方改革関連法の罰則とは?

この記事を書いている私は、経営コンサルを10年以上、働き方改革のコンサルも3年以上の実績があります。
また、行政書士でもあるため、労務関係を取扱う社会保険労務士とのコラボも数多く行っています。
法律に沿った内容だけに留まらず、企業の生産性を向上し、収益の増大を目指すコンサルを実施しています。

働き方改革関連法の内容とは?

働き方改革関連法とは、一つの法律ではなく、実際は複数の関連する法律をひとまとめにしたものです。
大きく以下の3つの内容に分かれています。

  • 働き方改革の総合的かつ継続的な推進
  • 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
  • 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

働き方改革の総合的かつ継続的な推進

これは、総合的な方針を定めたもので、働き方の実務とは違いますが、「働き方改革にかかる基本的考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための『基本方針』を定めることとする」と雇用対策法に定めています。

長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

これが働き方改革のメインとなる内容になります。内容は3点あります。尚、施行期日のないものは、全て施行済みなので早急な対応が必要です。

1)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全衛生法)

  • 時間外労働の上限

時間外労働の上限について、月45時間年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)を限度に設定(一部業種に猶予措置あり)。

  • 割増賃金率の変更

月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金(50%以上)の、中小企業への猶予措置の廃止(令和5年4月1日施行)。

  • 有給休暇の時季指定

10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について毎年時季を指定して与える義務を創設。

  • フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長。

  • 高度プロフェッショナル制度の創設

高度プロフェッショナル制度を創設し、対象となる労働者への健康確保措置を強化。

  • 労働時間の把握

労働時間の状況を省令で定める方法(より客観的な方法)により把握する義務の創設。

2)勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)

前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保(努力義務)。

3)産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)

産業医等の業務を適切に行うための情報提供など、産業医・産業保健機能の強化。

雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保

これは「同一労働同一賃金」と総称して呼ばれるもので、非正規雇用労働者の待遇に関するものです。現状、非正規雇用労働者を雇用していなければ、対応する必要はありません。尚、中小企業におけるパートタイム労働法、労働契約法の改正規定の適用は令和3年4月1日です。

1)不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

短時間・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止、詳細なガイドライン規定等の整備。

2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

短時間・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明義務。

3)行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

1)2)について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備

お金をかけずに働き方改革をする方法

結構、この質問が多いので、ここで触れたいと思います。
結論から言って、お金をかけずに働き方改革をする方法はあります。
なぜなら、全て自社で完結してしまえばよいからです。

具体的に言うと、社内で担当者を決め、情報を収集し、全ての施策を実施して、規程等を整備し、必要な届出を行う、これだけです。

この方法であれば、専門家などの第三者に依頼することはありませんし、もし、不明な点があっても、関係省庁や労務や経理で関係のある士業などに聞くことで解決することもできると思います。

しかし、それは現実的な方法でしょうか?

確かに、専門家等に依頼する費用は発生していないので、一見お金をかけずに実施ができるかもしれませんが、その分、担当者の負担は大きくなり、通常業務にも影響が及ぶ訳ですから、人件費などの見えないコストがかかります。

また、実施した施策や規定等の整備がコンプライアンスにきちんと対応しているかどうかなどについて。完全に見極めることは専門資格を所持していない限り、難しいでしょう。

なので、お金をかけたくないのであれば、「全くお金をかけない」ではなく、「できるだけお金をかけない」という方法で実施することをおススメします。

つまり、どうしても専門家の知見や作業が必要な部分のみを依頼して、それ以外は自社で何とかする、という方法です。これが実際に可能かどうか、まずは自社で検討してみてください。

働き方改革関連法の罰則とは?

働き方改革関連法に規定された罰則は以下の5点です。

  • 時間外労働の上限
  • 有給休暇の時季指定
  • 高度プロフェッショナル制度における健康確保措置
  • フレックスタイム制の見直し
  • 割増賃金率の変更(令和5年4月施行)

時間外労働の上限

時間外労働の上限は原則月45時間年360時間、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)となる規定について、これに違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

有給休暇の時季指定

年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、付与した日から1年以内に5日について毎年時季を指定して取得することとなる規定について、これに違反した場合は、30万円以下の罰金が科されます。

ここで気をつけて欲しいのは、罰金は1社についてではなく、違反1名についてのものだということです。例えば、100名の労働者に対して違反があれば、3000万円の罰金が科せられる可能性がある、ということです。

尚、対象となる労働者は、正社員だけではなく、フルタイムの契約社員や、パート・アルバイト社員など、年10日以上の有給休暇を付与される全ての労働者となります(過去1年間の全労働日の出勤が8割未満のものを除く)。

年10日以上の有給休暇が付与される労働者(名称・契約形態にかかわらない)

  • 週5日以上または、年217日以上勤務の労働者の場合、勤続期間が6か月以上
  • 週4日または、年169日~216日勤務の労働者の場合、勤続期間が3年6か月以上
  • 週3日または、年121日~168日勤務の労働者の場合、勤続期間が5年6か月以上

高度プロフェッショナル制度における健康確保措置

高度プロフェッショナル制度を導入する場合、対象となる労働者に対して、医師の面接指導を行わなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。
制度を導入しない場合は、対応する必要はありませんが、導入の検討をする際には注意が必要です。

フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の見直しにより、その「清算期間」が1か月から3か月に延長となり、より柔軟な働き方が可能となりました。例えば、6~8月の3か月が清算期間となった場合、子育て中の親が8月の労働時間を短くして夏休み中の子どもと過ごす時間を確保しやすくなる、また、会社側も毎月の清算作業が1/3に減少するなどのメリットが生じます。

しかし、清算期間の延長には労使協定の届出義務が発生しますので、この届出がない場合は、30万円以下の罰金が科されます。

割増賃金率の変更(令和5年4月施行)

月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金については、中小企業の場合は25%と優遇されていました。しかし、令和5年4月からは、それが撤廃され、大企業と同様、50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。この割増賃金が支払われない場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

尚、別の記事でも書きましたが、こうした罰則について、違法の状態になっていても今すぐに罰則が科されるわけではありません(ただし中小企業に限る)。しかし、調査やそれに伴う指導などは既に始まっており、違法状態であることは間違いありませんので、今すぐに対応を開始すべきです(裁判では現状でも当然不利となります)。

繰り返しになりますが、まだ時間はありますので、働き方改革をきちんと実行していきましょう。
そのためにも、まずは働き方改革の内容をしっかりと学ぶことが重要です。
まずは、現状を知るためにも無料簡易チェックリストによるチェックを行いましょう。
コチラからダウンロードできます(PC推奨)。

このブログでは働き方改革や雇用対策に関するさまざまな記事を掲載していますので、そちらも是非読んでみてください。もし、ご質問等がありましたら、お気軽にご連絡ください。