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働き方改革の残業規制と残業の削減方法【チェックリスト付き】

働き方改革
働き方改革関連法が完全施行されてから半年近く経ちましたが、対応はお済みでしょうか?
「まだまだ」というお声が聞かれるので、働き方改革の基本である残業時間の上限規制と削減方法について書きたいと思います。

現在、働き方改革の担当者や企業経営者はこのような悩みをお持ちの様です。

企業経営者(労務担当者)の悩み

  • 働き方改革の残業時間の上限規制を知りたい
  • 残業時間の削減方法を知りたい
  • 残業時間をなくす方法を知りたい

こういった疑問に答えます。

本記事の内容

  • 残業時間の上限規制とは?
  • 残業時間の削減方法
  • 残業時間をなくすことは可能か?

この記事を書いている私は、経営コンサルを10年以上、働き方改革のコンサルも3年以上の実績があります。
また、行政書士でもあるため、労務関係を取扱う社会保険労務士とのコラボも数多く行っています。
法律に沿った内容だけに留まらず、企業の生産性を向上し、収益の増大を目指すコンサルを実施しています。

残業時間の上限規制とは?

働き方改革における残業時間(時間外労働時間)の上限規制は、働き方改革のメインとも言える内容なので、この記事で細かくお伝えしていきます。

  • 月45時間、年360時間の上限(原則)
  • 臨時的な特別な事情がある場合の上限
  • 適用猶予や除外となる事業・業務

月45時間、年360時間の上限(原則)

従来、残業時間(時間外労働時間)については、月45時間年360時間の限度時間が設けられていましたが、働き方改革関連法による労働基準法の改正で、法律による上限(原則)として、月45時間年360時間が制定されました。

法律による上限(原則)として設定されたということは、それを超えたら即違法状態になることを示します。ここが、従来とは大きく異なる点です。

尚、労働者に対して残業を行わせる場合には、必ず労使協定(36協定)を締結する必要があり、それを所轄する労働基準監督署に届出を行わなければなりません。労働者数に条件はないので、たとえ労働者が1人であっても、法定労働時間1日8時間週40時間を超える労働をさせる場合には必要となります。

臨時的な特別な事情がある場合の上限

残業時間(時間外労働時間)の上限(原則)は既に書いた通りですが、事業運営上、その通りとはならない場合も出てきます。そこまで法律で規制することは難しいので、「臨時的な特別な事情がある場合」に限り、年720時間単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)という限度が、年間6か月までという条件に限って、設定されました。
この場合も、上記の条件を定めた「特別条項」付きの36協定の締結と労働基準監督署への届出が必要です。

従来は、「特別条項」付きの36協定さえあれば、上限の設定が不要であったため、心身に異常を来すほどの長時間労働が可能だったのです。

また、「臨時的な特別な事情がある場合」というのは、通常の業務状態では想定できない、という突発的な状況であるため、「繁忙期」だからという理由では認めてもらえませんので、注意が必要です。

尚、複数月平均80時間の上限というのは、隣接する2か月~6か月の全ての平均が80時間以内に収める必要があるということです。例えば、2カ月間続けて95時間の残業時間があった場合は、その翌月の残業時間は50時間以内にしなければ、法律違反になってしまいます。

適用猶予や除外となる事業・業務

令和6年4月までは、下記の事業や業務は適用猶予となります。

  • 自動車運転の業務(ただし、上限時間は年960時間)
  • 建設事業(ただし、災害時における復旧・復興の事業については、月100時間未満複数月平均80時間以内の要件は適用されません)
  • 医師
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業

また、新技術・新商品等の研究開発業務については、時間外労働の上限規制は適用されません(医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置が必要)。

尚、経過措置として、行政官庁は当分の間、中小企業主に対しては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態等を踏まえて行うよう配慮するものとされています。つまり、現状違法状態であったとしても、すぐに罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が適用される訳ではなく、まずは助言及び指導等が行われることとなります。しかし、期間が定められていないということは、いつから適用されるか分かりませんので、早めに対応を開始する必要があります。

そのため、今後は労働時間について厳密に把握する必要があり、労働時間の状況を省令で定める方法(より客観的な方法)により把握する義務が創設され、記録の保存についても義務化されました。
具体的には、タイムカードやPCのログイン/アウト記録などが必ず必要となり、手書きの出勤管理簿や点呼など口頭による勤務状況の管理などは不可となりました。

残業時間の削減方法

残業時間(時間外労働時間)の削減方法はとてもシンプルです。次の手順で実施します。

  • 現状の把握と分析
  • 削減の実施
  • 検証と改善

現状の把握と分析

どのような改革を行うにしても、最も重要なのが、この現状の把握と分析です。
すぐに削減を実行してしまいがちですが、まずはここにじっくりと時間をかけて行ってください。

残業時間の削減だけでなく、働き方改革全体について、またさまざまな改革においても、うまくいかない、思ったような効果が得られないという場合、この点を疎かにしていることがほとんどです。

また、ネットや書籍などで紹介されている、どこかの大企業の事例をそのままマネするのは絶対にやめましょう。従業員数数万人の企業と100人程度の中小企業では、組織運営そのものが大きく異なっているからです。

まずは、全員の労働時間、休日労働時間を年単位で調査して、事業所・職種・職位・年齢・性別等、あらゆる種別で現状の労働時間の分析を行います。

残業(休日労働)が発生しているのは、労働必要量(受注や作業量)が労働力(人員数など)を上回っているからで、その原因は次のいずれかにあります。

  • 人手不足
  • 受注過多
  • 業務過多
  • 能力不足

分析の結果が判明したら、施策の準備に取り掛かります。

1)人手不足

人員の補充を行います。新規人材の雇用だけでなく、異動などでも労働時間の偏りを解消が可能です。
業務によっては、研修等人材開発も必要になります。

2)受注過多

受注量の最適化を行います。単に減少させるのではなく、利益率や製造や流通など取扱いの難易度、同業他社との競合性など、さまざまな観点から検討します。場合によっては、取引先数の減少も視野に入れます。

3)業務過多

重複する業務やムダな業務を洗い出し、業務の簡素化を目指します。業務分析などを行うと効果的です。

4)能力不足

担当者のスキルや経験度が低く、想定より業務に時間がかかっている場合があります。研修などを実施し、能力不足を解消します。マニュアル化も効果的です。業務の属人化を避け、誰でもどんな業務でも可能な状態を目指します。

また、管理者の能力不足により、組織運営が停滞している可能性もあります。アンケートなども実施して、業務の実態を把握するように心掛けましょう。

削減の実施

施策の準備が整ったら、削減の実施を行います。いきなり結果は出ませんから、できることから徐々に始めましょう。部署間などで競わせたり、社内報で公表したりするのも効果的です。

経営層、経営トップは、進捗を常にウオッチして、事例の成功には称賛で応えましょう。少額でも賞与に上乗せするなどの報奨も行いましょう。

検証と改善

施策を実施したら、必ず検証を行いましょう。成功してもしなくても、なぜそういう結果になったのか、しっかりと分析を行います。うまくいかなかった部分については、改善しながら再度施策を実施し、成功するまで継続します。

今後、法令が改正になったり、社内外の環境が変化したりする可能性もありますので、内容に合わせて常に改善を行っていく必要があります。

残業時間をなくすことは可能か?

さて、前項で残業時間(時間外労働時間)の削減方法を見てきましたが、では、残業時間をなくす(0にする)ことは可能なのでしょうか?
結論から言って、可能です。なぜなら、実際に成功例が何社もあるからです。

具体的な方法はだいたい前項で書いた通りなのですが、残業時間をなくした企業ではその多くに共通点がありました。それは、総支払賃金額に手を付けなかった(労働者の年収を変えなかった)、ということです。

本来、賃金は残業代込みで支給されていますが、残業の削減策を実施するに当たり、従来の残業代込みの平均賃金を、残業なしでも支給する=実質の賃上げ、を行ったのです。

そもそも、労働者は労働の対価としての賃金を得るために労働しているのですから、総労働時間が下がっても賃金が下がらなければ、改革に前向きになりますし、ムダを排除したことで、さらに生産性が向上して、以前より収益が増大するという結果に結び付きました。

好不況の影響や業種ごとの事情もあり、同じことをしても同様の結果が得られるとは限りませんが、法令上最低限の対処はしなければならないのですから、どうせならここまでチャレンジしてみる価値はあるのでは、と思います。

繰り返しになりますが、まだまだ時間はありますので、働き方改革の内、特に残業時間の削減については、きちんと実行していきましょう。
そのためにも、まずは働き方改革の内容をしっかりと学ぶことが重要です。
まずは、現状を知るためにも無料簡易チェックリストによるチェックを行いましょう。
コチラからダウンロードできます(PC推奨)。

このブログでは働き方改革や雇用対策に関するさまざまな記事を掲載していますので、そちらも是非読んでみてください。もし、ご質問等がありましたら、お気軽にご連絡ください。