事業支援研究所

雇用対策とホームページの活用

働き方改革での有給休暇の時季指定付与とは【チェックリスト付き】

年次有給休暇
働き方改革関連法が完全施行されてから半年近く経ちましたが、対応はお済みでしょうか?
残業時間の上限規制については、対応済みという声が増えてきましたが、他の施策は「まだまだ」という状態が多いようです。
そこで、今回の記事では、年次有給休暇の時季指定について書きたいと思います。

現在、働き方改革の担当者や企業経営者はこのような悩みをお持ちの様です。

企業経営者(労務担当者)の悩み

  • 年次有給休暇の時季指定について知りたい
  • 年次有給休暇の付与について知りたい
  • 年次有給休暇を取得させる方法を知りたい

こういった疑問に答えます。

本記事の内容

  • 年次有給休暇の時季指定とは?
  • 年次有給休暇の付与【復習しましょう】
  • 年次有給休暇を取得させる効果的な方法

この記事を書いている私は、経営コンサルを10年以上、働き方改革のコンサルも3年以上の実績があります。
また、行政書士でもあるため、労務関係を取扱う社会保険労務士とのコラボも数多く行っています。
法律に沿った内容だけに留まらず、企業の生産性を向上し、収益の増大を目指すコンサルを実施しています。

年次有給休暇の時季指定とは?

働き方改革関連法において、年次有給休暇の一部について時季を指定して与える義務が創設されました。働き方改革の大きな要素である内容なので、この記事で細かくお伝えしていきます。

  • 年次有給休暇の時季指定
  • 時季指定方法
  • 時季指定付与の罰則

年次有給休暇の時季指定

年間10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対して、その内5日について毎年時季を指定して与える義務が創設されました。

対象となる事業主に条件はありません。つまり、大企業から零細企業までの全ての企業/法人、および個人事業主が対象となります。経営形態や規模は関係なく、一切の例外はありません(適用猶予もありません)。
既に施行が済んでいますので、直ちに対応する必要があります。

時季指定方法

対象となる全ての労働者に対して「予め」指定することとされていますが、その方法については決められておらず、自由です。
したがって、面談などで上司が部下の一人ひとりとの間で話し合って決定しても構いませんし、全社一斉に「この日を有給休暇の時季指定付与日とする」といった決め方でも構いません。

「予め」決めることとされていますが、「何日前までに」という決まりもありませんので、極端な話、急に有給休暇が取りたい→それならその日を時季指定付与にしてしまおう、ということでも構わないのです。
この決まり自体が有給休暇の取得日数を増やすために設けられた義務なので、そこさえクリアできれば問題ない、ということなのです。つまり、既に5日以上取得している労働者に対しては、改めて時季指定付与する必要はありません(することもできません)。

ただし、有給休暇の付与日(ほとんどの企業が4月1日か10月1日と思われます)から1年以内という条件が付いている以上、期限ギリギリに皆が取得するのは現実的ではないため、5日とは言わず、少なくとも3日程度は予め時季指定を行っておいた方がよいでしょう。

時季指定の罰則

年次有給休暇の時季指定に関する規定について、これに違反した場合は、30万円以下の罰金が科されます。
ここで気をつけたいのは、罰金は1社についてではなく、違反1名についてのものだということです。例えば、100名の労働者に対して違反があれば、3000万円の罰金が科せられる可能性がある、ということです。

しかも、1回の違反で罰金を支払えば終わり、ということでもなく、たとえ、1度罰金を支払っても、その後同様に違反があれば、何度でも罰金を科されることになります。

罰金を科されるということは、同時に企業名が明らかにされることになりますので、今後の雇用状況や会社間取引にも影響を及ぼす可能性があるため、簡単に考えない方がよいでしょう。

尚、経過措置として、行政官庁は当分の間、中小企業主に対しては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態等を踏まえて行うよう配慮するものとされています。つまり、現状違法状態であったとしても、すぐに罰則が適用される訳ではなく、まずは助言及び指導等が行われることとなります。しかし、期間が定められていないということは、いつから適用されるか分かりませんので、早めに対応を開始する必要があります。

年次有給休暇の付与【復習しましょう】

ここで、年次有給休暇について改めて見ていきましょう(よく分かっているという方は飛ばしていただいても結構です)。

  • 年次有給休暇とは
  • 年次有給休暇の対象者
  • 年次有給休暇の日数

年次有給休暇とは

労働基準法では、下記の条件を満たす労働者は年次有給休暇を取得することができると規定されています。

  • 雇入れの日から6か月継続して雇われている
  • 全労働日の8割以上を出勤している

逆に言えば、雇用者は、上記の条件を満たした労働者に年次有給休暇を付与しなければならないというこです。しかし、付与さえしておけば法的な要請はクリアしてしまうので、取得するかどうかは労働者に任されていたため、付与はされていても取得が進んでいないという状況が長年続いていたため、今回の時季指定付与という形で半ば強制的に取得させることになりました。

付与日は上記の条件から、最初は入社日の6か月後の日(例えば4月1日入社なら10月1日)ということになりますが、付与日は企業が自由に設定できるため、年度途中に入社する社員などに対する管理を効果的に行うために、2年目以降は4月1日などを全社一斉付与日にしている企業も多数ありますし、法令を上回る規定は構わないので、入社日当日に、入社日から6か月後までの有給休暇を付与してしまうという方法もあります。

次に、付与された有給休暇の取得方法ですが、「労働者が請求する時季に与えること」と規定されており、基本的には会社側は労働者が指定してきた日程について拒否することはできません。ただし、「時季変更権」といって、労働者が請求してきた時季について、その日程に有給休暇を取得させることが、「事業の正常な運営を妨げる場合(例として、同一機関に多数の労働者が休暇を希望したため、その全員に休暇を付与し難い場合等)」 には、他の時季に有給休暇の取得時季を変更することができるとされています。

また、会社側は、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはいけない、と規定されています。例えば、精皆勤手当や賞与の額の算定などに際して、有給休暇を取得した日を欠勤または欠勤に準じて取扱うなどの不利益な取扱いがこれに当たります。

尚、会社側は、労働者ごとに「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存しなければなりません。また、社内で定めた休暇に関する事項については、就業規則の絶対的必要記載事項に当たりますので、時季指定付与についての規定を新たに定めた場合も、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季制定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません(違反した場合は、30万円以下の罰金)。

年次有給休暇の対象者

年次有給休暇が付与される労働者は、雇入れ日から6か月間継続勤務し、その全労働日の8割以上を出勤した全ての労働者が対象となります。

この対象労働者には、正社員だけでなく、パート・アルバイト社員、契約社員など、名称や契約形態に関わらずに全ての労働者となります。また、残業(時間外労働)と異なり、管理監督者も対象となりますので、課長や部長なども名称や実態に関係なく対象となりますので、注意しましょう。

年次有給休暇の日数

条件を満たしている社員に付与される日数は、原則、下記の通りとなります(それ以上であれば構いません)。

継続勤務年数    付与日数
6か月                10日
1年6か月         11日
2年6か月         12日
3年6か月         14日
4年6か月         16日
5年6か月         18日
6年6か月以上   20日

尚、アルバイト・パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。その対象となるのは、週所定労働日数が4日以下または、年間の所定労働日数が216日以下の労働者となります。その内、今回の改正の対象となる年10日以上の有給休暇が付与される労働者は下記の通りとなります。

※年10日以上の有給休暇が付与される労働者(名称・契約形態にかかわらない)

  • 週5日以上または、年217日以上勤務の労働者の場合、勤続期間が6か月以上
  • 週4日または、年169日~216日勤務の労働者の場合、勤続期間が3年6か月以上
  • 週3日または、年121日~168日勤務の労働者の場合、勤続期間が5年6か月以上

また、年次有給休暇の請求権の時効は2年であることから、年次有給休暇の繰越しとして、前年度に取得されなかった年次有給休暇は翌年度に与える必要があります(労働者は昨年分として付与され未取得の有給休暇も取得することができます)。

年次有給休暇を取得させる効果的な方法

年次有給休暇を取得させるための効果的な方法は下記のものがあります。

  • 夏季休暇・年末年始休暇
  • 誕生日などのアニバーサリー休暇
  • 部署別に全社単位で検討する

夏季休暇・年末年始休暇

夏季や年末年始に年次有給休暇を計画的に付与して、大型連休とする方法です。
製造業などは、操業をストップさせて全労働者を休ませることができるため、製造場などでの活用や全社一斉に実施しやすい、などのメリットがあります。

ただし、既に特別休暇として就業規則などに記載されている場合は、改めて年次有給休暇として指定し直すことは、不利益変更に当たるため不可です。

誕生日などのアニバーサリー休暇

労働者本人の誕生日や結婚記念日、子供の誕生日などを「アニバーサリー休暇」として、当日の前後を含め3日間設定するなどの方法があります。毎年確実に存在し、予め取得日が明らかになる、変更も可能である、などのメリットがあります。

部署別に全社単位で検討する

暦の関係で飛び石連休となっている日を休日に設定し、計画的年休として取得させます(ブリッジホリデー)。また、閑散期の月曜日や金曜日を指定して連続休暇とする方法もあります。流通・サービス業など全社一斉方式が採用できない企業や事業場などで採用でき、部署ごとに設定できるため他部署からのサポートも受けやすい、などのメリットがあります。

尚、労働者ごとに管理する年次有給休暇管理簿とは別に、部署ごとに年次有給休暇取得計画一覧表を作成してメンバー間で共有することにより、計画的に取得させる雰囲気作りから始めるのも効果的です。

繰り返しになりますが、まだまだ時間はありますので、働き方改革の施策を一つずつ確実に実行していきましょう。
そのためにも、まずは働き方改革の内容をしっかりと知ることが重要です。
まずは、現状を知るためにも無料簡易チェックリストによるチェックを行いましょう。
コチラからダウンロードできます(PC推奨)。

このブログでは働き方改革や雇用対策に関するさまざまな記事を掲載していますので、そちらも是非読んでみてください。もし、ご質問等がありましたら、お気軽にご連絡ください。