事業支援研究所

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企業が働き方改革を行う目的とは【チェックリスト付き】

働き方改革
働き方改革関連法が完全施行されてから半年近く経ちましたが、対応はお済みでしょうか?
残業時間の上限規制については、対応済みという声が増えてきましたが、他の施策は「まだまだ」という状態が多いようです。

なぜ働き方改革があまり進んでいないのか、そのカギは「働き方改革を実施する目的が分からない」というのが原因なのです。
また、たとえ分かっていたとしても、国が推進する目的と企業が実施する目的が異なっていることを知らないからなのです。

そこで、今回の記事では「企業が働き方改革を行う目的とは」について書いていきます。

本記事の内容

  • 国の目的と企業の目的は違う
  • 国が働き方改革を推進する目的
  • 企業が働き方改革を実施する目的

この記事を書いている私は、経営コンサルを10年以上、働き方改革のコンサルも3年以上の実績があります。
また、行政書士でもあるため、労務関係を取扱う社会保険労務士とのコラボも数多く行っています。
法律に沿った内容だけに留まらず、企業の生産性を向上し、収益の増大を目指すコンサルを実施しています。

国の目的と企業の目的は違う

働き方改革とよく一口にまとめてしまいがちですが、そもそもなぜ働き方改革が必要なのでしょうか?そこには、解決しなければならない問題があるからなのですが、なぜ企業は法律があるからというだけでなく、より深く実行していこうとするのでしょうか。

結論から言ってしまうと、国も企業も別の問題を抱えているのですが、働き方改革によってもたらされる結果という利害が一致しているからなのです。国も企業も抱えている問題は別としても、全く関連性がない訳ではありません。そこで、各々の問題を知っておくことも重要であるため、この記事でお伝えしてこうと思います。

それぞれの問題とそれを解決するための目的と、その結果として得られる効果については次項以降に述べていきますが、どうしても知っておいて欲しいのは、今回の法改正は企業にとっては大きなチャンスであるということです。

企業運営上、さまざまな改革を行って常に効率化をしていきたくても、いろいろな問題やしがらみなどがあって、たとえ良策であったとしても、なかなか実行に移せないことが多いです。しかし、それが法律に基づくものであれば、それに従うという名分がありますから、大胆な施策であってもそれを行う正しい理由があり、反対を許さない環境を作り上げることができるのです。

働き方改革は「働かせ方改革」であるという批判の声も一部にありますが、企業が労働者を効率的に働かせて、得た収益を原資とした賃金を労働者に支給するのは当然であり、収益の効率化が賃金のさらなる上昇をもたらすということを忘れてはいけません。それが資本主義の基本であり、私たちはそういう国の企業で働き生活しているのです。

改革の結果として、企業もそこで働く労働者も、最終的に納税によって潤う国も、全てがハッピーになる、それを働き方改革で目指しているのです。

国が働き方改革を推進する目的

国が働き方改革を推進する目的は下記の問題を解決したいからです。

  • メンタルヘルスの問題
  • 労働人口の減少
  • 労働生産性の低迷

メンタルヘルスの問題

近年、労働者の健康障害が増加を続けており、それが長時間労働との強い相関性があることが明らかになりました。また、ハラスメント等による健康障害も増加していることが別の統計で分かっています。

要するに、働き過ぎとハラスメント等によるストレスによって健康障害が増加しているということです。
健康障害が増加するということは、まず、医療費の増加を招きます。そして、健康障害になった方が離職することで、国民全体の所得が減少します。国民全体の所得が減少すると、GDPを引き下げてしまい、デフレ状況がいつまで経っても改善しません。また、所得の減少によって、所得税も減少してしまいます。つまり、現状は、国の収入(歳入)が減り、費用(歳出)が増え続けているということです。

言い換えれば、長時間労働やハラスメント等は、企業やそこで働く人だけでなく、国の経済にも悪影響を及ぼしている、ということなのです。だから、ハラスメントの対策は別の法体系にまとめることとして、まずは長時間労働を防ぐことが最重要課題とされたのです。

そして、長時間労働とは長時間残業であることから、長時間残業を減少させる方策として残業時間に限度を設定させたのです。

労働人口の減少

内閣府では、2014年3月に2060年に向けた長期の労働力人口予測をまとめました。働く人と失業者を合計した労働力人口は、2013年に6,577万人いましたが、今後少子高齢化による人口減少により、出生率が大幅に改善し、女性や高齢者の労働参加が進んだ場合でも1,170万人(18%)減少し、 5,400万人程度になると推測されました。

この試算は、30~49歳の女性労働力率を先進国最高のスウェーデン並みに引き上げ、60歳以上の労働者の引退年齢を5年遅らせ、2012年に1.41だった合計特殊出生率が2.07に回復した場合の数値で、出生率が回復しない場合は、4,792万人と27%減少し、女性や高齢者の労働参加も改善しない(つまり現状のまま)場合は、3,795万人と42%も減少すると分析されています。

おそらく、出生率が回復することは難しいでしょうから、今後約45年内に(現在の新卒社員が定年を迎える頃)、3割以上の労働人口が減少すると考えられる訳です。
※最新の統計では、減少の度合いがわずかに当初の試算より少なくなっています。

また、別の統計では、2015年の15~64歳の人口(労働が可能な人口)は、7,682万人ですが、2025年には7,085万人に減少すると予測しています。これは、統計なので予測といってもほぼ正しい数字です。たった10年で600万人も減ってしまうのです。

この人手不足状態を少しでも解消しなければならないのですが、労働参加がしたくてもできない状況にある人々が存在しています。それが、女性と高齢者、そして障害者です。

女性は「育児」が原因です。以前に比べれば待機児童は減少したとは言っても、なくなった訳ではありません。育児に関わる時間の制約と、税金対策である「150万円の壁」をクリアするためにも非正規労働で頑張っている方が多く、持ち合わせているはずのスキルや経験が活きずに、正式な労働参加となっていません。ところが、企業側(特に中小企業)にはそういった女性を活用するための具体的な施策が多くありません。

次に、高齢者ですが、最近の高齢者は60代どころか70代でも元気で、「老人」という言葉が全く当てはまらない方がほとんどです。しかし、年功序列を採用してきた企業としては、必然的に高い賃金の高齢者を継続雇用しておきたくない(賃金の安い若い労働者の方がその分多く雇用できる)という考えが当然あり、まだまだ働けるのに働けないという現状があります。

そして、障害者です。「障害者雇用促進法」で各企業規模に合わせた障害者雇用の人数を義務付けていますが、なかなか守られていないようです(官公庁ですら障害者雇用の数字が未達成のため、水増ししていたという何とも情けない報道がありましたね)。

こうした状況の人々に労働参加してもらうためには、「働きやすさ」が必要となるのです。

労働生産性の低迷

働き方改革を推進する直前、日本の労働生産性は、年々高くなってきており、2016年度は過去最高を記録していました。しかしながら、1時間当たり労働生産性は46.0ドルで、OECD加盟35か国中20位、一人当たり労働生産性は81,777ドルで、OECD加盟35か国中21位だったのです。それを主要先進7か国(G7)で見ると、データが取得可能な1970年以降約半世紀、ずっと最下位のままです。

もちろん、計算の元となる数値で、国ごとの経済構造によって1人当たりGDPの換算が異なっていたり、総労働時間にパート・アルバイトなどの非正規も含んでいたりすることで、ある程度は改善しているではないかとも思われています。また、産業別にみると、製造業より非製造業、特にサービス業の労働生産性が低く、それが足を引っ張っていることも要因となっているようです。

だからと言って、現状を考えれば、労働生産性は必ず高める必要があるのは間違いないですし、それが実現できない訳ではありませんから、それを働き方改革によって実現していこうということなのです。

企業が働き方改革を実施する目的

では、企業が働き方改革を実施するは何なのでしょうか。それは下記の通りとなります。一つずつ見ていきましょう。

  • 就業環境の向上
  • 労働生産性の向上
  • 離職防止・採用促進

就業環境の向上

働き方改革によって、長時間労働の防止、非正規雇用労働者の待遇改善、産業保健状況の改善など、さまざまな施策の実施が行われると、「働きやすい職場」が実現できます。

誰でも、同じ仕事をするのに、ムダな業務が多く、長時間労働が当たり前で、管理が杜撰で職場環境が劣悪な場所で働きたいと思うでしょうか。

定時終業が当たり前で、有給休暇が取りやすく、働いている内容や責任に応じた賃金がきちんと払われている、そんな就業環境を持つことは、決して理想ではなく、確かに実現可能な施策なのです。

労働生産性の向上

前項で書いたように、日本の労働生産性は高くありません。それは長時間労働が一番大きな原因なのです。

一人ひとりの労働時間が減少すれば、生産性は向上するのですが、それだけに止まりません。

長時間労働を防止する際に、ムダな業務の排除、ITなどの導入強化、非正規雇用者の活用など、業務の効率化もそこにプラスされるのですから、生産性は劇的に向上することでしょう。

そして、生産性の向上は収益の向上に直結します。企業が求めるのは、まさにココなのです。従業員に無理やり図らせた結果得られる売上ではなく、社員全員が働きやすい環境の中で得た収益が増加していくのは、まさに理想的であると言えます。

離職防止・採用促進

就業環境の向上、労働生産性の向上によって得られる収益の増加は何をもたらすのでしょうか。

それは、賃金の上昇と、労働者のモチベーション向上です。そしてそれは、さらなる収益の向上を創り出していくという正のスパイラルが実現し、企業の成長が実現していきます。

労働者のモチベーション向上により、離職率が低下していき、企業の成長によって新たな人材獲得の必要性が出てきますが、就業環境が良好で好業績な企業の人材採用は、たとえ人手不足で売り手市場の環境であったとしても有利に進むことは間違いありません。

こうして、働き方改革は企業にとって、とても有用であるということが分かってもらえたと思います。

このブログでは何度も書いていますが、まだまだ時間はありますので、働き方改革の施策を一つずつ確実に実行していきましょう。そのためにも、まずは働き方改革の内容をしっかりと知ることが重要です。まずは、現状を知るためにも無料簡易チェックリストによるチェックを行いましょう。
コチラからダウンロードできます(PC推奨)。

このブログでは働き方改革や雇用対策に関するさまざまな記事を掲載していますので、そちらも是非読んでみてください。もし、ご質問等がありましたら、お気軽にご連絡ください。